「パナマにはゴージャスな録音が山ほどある。音を聴くだけで、パナマ録音じゃないレコードを僕は言い当てることができるよ」―― DJベト(サウンドウェイ)インタヴュー後編 | Tokyo Sabroso
DJベトことロベルト・ジェイモントのバックボーンを探るロング・インタヴュー後編をお届けする。前編ではサンフランシスコで生まれたベトがパンク/ハードコア~メタル~エレクトロを経て、ラテン・ミュージックの扉をノックするまでの道程とともに、パナマ音楽の地下水脈を掘り当てるまでの旅路を振り返ってもらった。この後編では70年代のパナマ音楽界にさらに深くを足を踏み入れながら、なぜあの時代のパナマから奇跡のようなレコードが星の数ほどリリースされたのか、その謎解きをしてみたい。きっと名前も知らないアーティスト名が次々に出てくるだろうが、騙されたと思ってYoutubeで検索をかけてみてほしい。目も眩むような楽曲ばかりで、日本人にとっては少々馴染みの薄いパナマという国の音楽文化の深みと凄みに驚かされるはずだ。ベトの話は、『Panama! 2:Latin Sounds, Cumbia Tropical & Calypso Funk On The Isthmus 1967-77』をはじめとする多くの歴史的名作を共に作り上げたレーベル、サウンドウェイとの出会いから始まる――。Interview by 大石始 & 森本英人 ――サウンドウェイと仕事をするようになったきっかけは?DJベト:(インタヴュー前半で話したように)eBayに出品したすべてのパナマのレコードを競り落としたのがサウンドウェイのマイルス・クラレットだったんだけど、彼がメールで「他にレコードはないか?」と訊いてきたんだ。実は自分にとってあまりピンと来ないもの売っただけだった(後々自分が売り払ったものをもう一度探す羽目になったんだけど、簡単じゃなかったよ!)。それで他のレコードもあれこれコピーしてmp3で彼に送るという話になった。それが『Panama!』シリーズの始まりだよ。当時のマイルスはガーナと確かナイジェリアを旅してきたところで、リリースされたばかりの『GHANA SOUNDZ』を送ってくれた。マイルスは本当に特殊な人だよ。頭が良くて、気さくで、しかも謙虚だ。感度抜群の耳の持ち主だ。そして、根っからの音楽人間だ。僕と同じようにね。すっかり虜なんだ。聴いたことのない音、僕らにすれば、あり得ないサウンドのね。『PANAMA!』シリーズも『COLOMBIA!』もすべてマイルスのヴィジョンだ。彼は僕に「現地でリサーチを行って、当時の
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