20181009

伝統文化のタブーに生きる「女メタラー」。アフリカ小国・ボツワナに根づく、女たちの知られざるヘヴィメタルシーン | HEAPS

彼女たちは、日が落ちるとクローゼットを開け、「もう一人の自分」に扮するため服を選ぶ。ヴィッキーはバンドTシャツに手を掛け、ミリーはスタッズのついた革ジャンに袖を通し、デビーはカウボーイハットをかぶる。 絶対的な権力を持つ夫や親の目をかいくぐり、保守的な社会から毛嫌いされる"サブカルチャー"を自分の好きにできる、ほんの一時だ。 アフリカ小国に息づく「メタルカルチャー」 アフリカ大陸南部にボツワナという国がある。比較的安定した治安と民主的な政治で「アフリカの優等生」とも呼ばれる、人口200万人の共和国だ。 世界トップクラスのダイヤモンド産出国でもあることから経済成長を遂げ、近隣国より国民の所得も高い。一方で貧富の差が生まれたり、エイズ患者が最も多い国の一つであることも現状なのだが。 ダイヤモンド、サファリ、安定した政治。小国ボツワナを形容するキーワードはいろいろとあるが、ここでもう一つ加えたい。「ヘヴィメタル」を。先ほどの彼女たちは、メタラー(メタル愛好家)だ。 ボツワナのヘヴィーメタルシーン。あまり知られてはいないが、ハードロック・ヘヴィメタル全盛期の1970年代から自然とはじまったといわれている。 国内でメタルバンドが形成され、メタラーたちは決まってスタッズだらけの革ジャンに、チェーン、カウボーイハット、バンドTシャツ、ドクロのアクセサリーにブーツ姿のイカついルックス。こうして形成されたヘヴィメタルシーンは、ツワナ語(ボツワナの言語)で"rocker(ロッカー)"を意味する「Marok(マロック)」と呼ばれサブカルチャーになった。 昼は教会、夜はメタルライブ。"クイーン"の二重生活 「彼女たちは自分のことを"クイーン"と呼ぶんだ。偶然行った現地でのメタルライブで出会った」 そう回想するのは、南アフリカの写真家Paul Shiakallis(ポール・シャカリス)。シリーズ『leathered skins, unchained hearts(レザード・スキンズ、アンチェインド・ハーツ)』で、ボツワナの女性メタラー(通称クイーン)を1年間かけて撮り続けた。 ライブで会った日からクイーンたちと仲良くなったポールだが、彼女たちのフェイスブックであることに気づく。

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